塚本香央里(つかもとかおり)
 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
 

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2026/06/24
175「グリーグのヴァイオリンソナタ第2番・リサイタル2026」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今年のリサイタルでは、グリーグのヴァイオリンソナタ第2番をお披露目します。

第1番の若々しい猪突猛進なところも大好きなので候補には上がっていたのですが、第2番の2楽章に魅せられました。

譜読みから始めて全体の雰囲気をつかみ、細部の練習に移っていきますが、美しいメロディーラインに心が揺さぶられます。グリーグの曲は、ピアノコンチェルトが有名で、一度聞くと忘れられないような・・・インパクトが大きい気がします。ピアノがもっと弾けたらいいのに・・と残念に思うくらい中学生時代はよく聞きました。高校生になって弦楽合奏版の『ホルベアの時代』を弾いて「わぁ、楽しい」と感じたくらいで、ヴァイオリンソナタはあまり知らなかったです・・・

この10年くらいでグリーグのソナタが再燃してきて、たくさんのヴァイオリニストのコンサートで演奏されるようになってきたように感じます。第3番が人気とのことですが、グリーグの成熟した重量感のある音楽が最大限に活かされているからでしょう。ただ、2番の若々しい中にも陰影を意識した音作り。ヴァイオリンという楽器に表現させることの実験的な取り組みを感じることができます。


初めてお客様の前で演奏するのは緊張しますが、これからじっくりと熟成させながらグリーグの曲に込めた思いなどが伝わるようにしたいと思っています。お楽しみに!

 


2026/06/23
174「雨の歌によせて・リサイタル2026」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今年のリサイタルは私の心の支えになっているブラームス作曲「雨の歌」を軸に考えています。
高校生の時に、周りの同級生たちに圧倒されて自分を見失ってしまったとき。ふと耳にしたこの曲の美しさに魅かれ、繰り返し聴いていました。心の中に染み込むような音。当時はレコードでした。何もしないでぼんやりと、その音を聞きながら小学生時代に住んでいたドイツに思いを馳せ、よし、大学卒業したら留学しようと心を新たにした大切な曲でもあります。人は人、自分は自分という考えが定着のもこの頃かもしれません。
この曲を弾く時は、いつも高校時代の苦しかった自分を思い出します。楽しかったけれど闇雲に頑張った時期でもあります。結果が出る時もあれば、全然見向きもされなかったこともある。自分を粘土のようにこねくり回して、たたきつけ、成形しながらまた壊す。その繰り返しでした。その後も、人生での一区切りがあると必ず演奏したくなります。出来上がったものを、少し壊す。微調整では効かなくなったものを、改めて見直す。
50代の今、シンプルな気持ちで向き合いたいと思っています。決して平たんな道ではなかった自分の人生を振り返り、先に続く道がどうなっていくのかを立ち止まってのぞき込むような・・・そんな気持ちが音に現れればよいなと思っています。
節目に弾いてきた曲だからこそ、その変化が感じられると思います。
自分の立ち位置を改めて確認するような、私の姿を聴いていただければと思います。

2026/06/22
173「音の旅人ヴァイオリンリサイタル2026」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

夏至を過ぎると気分的には夏へまっしぐら、といった気持ちになります。今年の夏も暑いのでしょうか。近年の夏の厳しさに恐れながら、今年もしっかりと身体を大切にしながら過ごしていきたいです。

私の場合は7月から12月まではマラソン選手のようにペース配分をしながら進んでいきます。これから12月のリサイタルに向けて本格始動をしなければなりません。プログラムについては、長いベートーヴェンプロジェクトを終えたので次のステージへと進みます。まずは「原点回帰」といった視点から、自分の音楽家としてのルーツを思い起こしながら構成しています。


「音楽家」ということを意識したのは小学校6年生頃だったでしょうか。「音高受験」という言葉を、師事していたヴァイオリンの先生から聞かされた時に、親子でスッと背筋が伸びました。音楽高校という未知の世界。先生から受験する権利があるよ、ということを聞くだけでも緊張しました。当時は支持する先生のGOサインがないと、音楽高校受験は難しかったからです。私は音楽の道に進むということがどんなことなのかまだ全然わかっていなかったので、本当に新鮮な気持ちでその言葉をかみしめました。ボンヤリしてふわふわした幼い思い出です。

その後無事に桐朋に合格してから、徐々に「音楽家」を意識していましたが、何しろ周りの友達が凄すぎて・・・落ち込むことも多々ありました。まぁ、自信を無くしましたね。それでも、友人は楽しくて素敵な人ばっかりだったので劣等感に悩むこともなく、浮き沈みの激しい学生時代を過ごしました。その頃になると、音楽家以外の人生は思い浮かべることができなくなって、とにかく楽器を一生弾いていくんだな・・・という覚悟が決まった感じです。


「ヴァイオリンを弾くことをあきらめない」というのが私の目標となり、道を照らすランプのような存在となりました。

弾けない時があってもいい。弾きたくない時があってもいい。それでも自ら手放すことのない存在。それが私にとってヴァイオリンです。

そんな思いを込めた原点回帰の「音の旅人ヴァイオリンリサイタル2026」。

楽しみにしていただけたらと思います。




2026/06/21
172「夏至」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

太陽が最も高い位置にあり、1年で一番昼が長い日。暦のうえでは夏のまんなかです。

 

ヨーロッパに住んでいるときは、この時期が一番気持ちよくて街ゆく人たちも夏のバカンスを前にウキウキした様子でした。学校なども州によってはお休みに入るところもあったり、劇場もシーズンの終わりが見えてきて、団員たちもバカンスの話で持ちきりでした。

楽団員の中に、バイロイト音楽祭の祝祭管弦楽団で演奏しているおじさんがいて、毎年「今年も行ってくるよ!」と嬉しそうに、早めにシーズンを終えて休みに入る人がいました。私の所属していたオーケストラは、ワーグナーの作品を数多く演奏していました。ワーグナーの作品は、全体を統括する指揮者の力量が大いに問われます。オケには古参の指揮者がいて、その方がワーグナーを振るときはとても安心感がありました。オーケストラに任せて自由に弾かせてくれるところと、歌い手と細やかにコンタクトを取らなければならない時には的確な合図を的確なタイミングで指示するなど。本当に素晴らしい指揮者でした。私にとっても貴重な経験で、ワーグナーのオペラをほぼ全部弾くことができたのは心の財産です。長時間の演目が多いので、演奏も大変でしたが「ニーベルングの指輪」を含めて素晴らしい作品に浸ることができました。

団員の中で定年間近のおじさんたちからは、彼らの若かりしときの話をたくさん聞きました。録音技術の黎明期のレコーディングの話や、伝説的な指揮者と一緒に演奏旅行をした話など。本番前に楽譜にかじりついて必死に練習している私に「ここはね、恋の歌を歌っているんだよ」と、歌い手と同じ表情になって私の緊張を緩めてくれたりしました。ワーグナーの作品は平均5時間前後。新演出のためのリハーサルがなければ、新人団員はすぐに本番です。「ひ~・・・」と心で叫びながら弾いていました。


バイロイト音楽祭は今年150周年という記念の年らしく、賑やかに開催されることでしょう!

ワーグナーのオペラ、また弾きたいなぁ。


2026/06/20
171「自分を癒す」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

なんとなく慌ただしい気分になる季節です。

1年も半分を過ぎようとしているのに、自分は何をしているのだろうか?と焦ったり、自己嫌悪に陥ったり。特に私は6月に気分が落ち込むことがあるので注意したい時期です。あ、来たな・・・と心の準備をするのも大切です。

こういうときこそ、深呼吸をしようと心がけています。ゆっくり大きく息を吸って、大切に吐き出す。時間をかけて細く小さく流れていく空気を感じると、ふんわりとした気持ちになります。


生きるって本当に大変なこと。

毎日を動かしていくのは自分に大きな負荷がかかっている。

時間は淡々と進まず、突発的に起こる様々な出来事に翻弄される。


それでも、私たちの世代には「経験」という大きな宝物があります。その宝を使いながら、自分の生きていく道を整えることは可能です。

疲れたなぁ、と思ったら、自分は何をすると心地よくなるのでしょうか?

辛いよ、と感じたら、何を食べたら元気になるのでしょうか?


小さなことで良いから、自分を手当てする方法を知っていたら、生きることはもっともっとラクになりますね。

土曜日は少し憂鬱な気分になる私も、今夜はちょっとだけ現実逃避をして優しい気持ちになりたいと思います。