【日本対がん協会】
私は母を肺がんで亡くしました。私の支えになってくれていた大親友のママ友も、がんで亡くなりました。いずれも告知されてから半年以内という短い闘病生活でした。今の時代、2人に1人はがんになると言われています。あなたの隣に座っている人は、がん患者さんかもしれません。
日本対がん協会は、①がんの予防・検診の推進②患者さまやご家族の支援③正しい知識の啓発運動を活動の軸として1958年に創設されました。
私が協会の事を知ったのは、母ががんの告知を受けた時でした。なんとなく新聞広告(朝日新聞)を見ていたら、がんに関する講演会があることを知って聞きに行ったことが初めてでした。何も知識がないことが不安だったからです。何をどうしたら良いのか?心理的な安心感が欲しかったのだと思います。正直に言えば、その時の講演会の内容はあまり覚えていませんが、学術的な内容とケアの話などを、静かに、感情を高ぶらせることなく、良い意味で淡々と講義を受けた印象でした。心の底が動揺している自分を落ち着かせてもらったような気持ちになりました。そこでいただいたパンフレットの協会の活動内容にも共感して注視するようになりました。その後、母を亡くした後は少額ですがリサイタルから寄付するような形にしています。がんに対する心構えや支援のしかた、当事者や家族がどんな思いで過ごすのか・・・少しでも寄付という形で支援を続けて、活動を自分事として応援したいと思いました。父が定年までの10年間くらいを、医療関係の団体に所属していたこともあり、そういった内容に関して抵抗なく情報を取り入れることができたのかもしれません。がん告知の後にセカンドオピニオンを取り入れたこと、母の最期をホスピスで過ごせるように父と話し合ったこと、最後まであきらめずに免疫療法をしたりと物理的な支援に力を注ぎました。でも、母は本当は心理的に寄り添ってもらいたかったのだと思います。自分の母親の写真に向かって「お母さん、苦しい、助けて」とつぶやいている姿が私にはとてもショックでした。死について怖かったことも一因でした。今は違います。その時どうすればよかったのかもう少し考えることができます。人はいつか死に直面するけれど、その経緯は人それぞれだということをその後の人生28年かけて痛感しているので、様々な思いを込めて寄付という行為が自分の支えになっているように思えます。
さて、その日本対がん協会の主宰する『ジャパン・キャンサー・サバイバーズ デイ2026』に参加してきました。(6月7日)。恥ずかしながら寄付はしていても、こういったイベントに参加するのは初めてでドキドキしてしまいました。当日はがん患者さんやご家族、医療関係者が多数参加されるということで、部外者では?と思いつつ一人もひとりでいってきました
講演2つとトークセッション。合間にストレッチの時間。それ以外にはたくさんのブースを見学することができました。がんを抱えながら生活する人を支援する団体・緩和ケア・お化粧・ウィッグなどの紹介から、がん研究についてなどの他、相談の声などの展示もありました。
今回注目したのは、がんの告知をされた方、治療経験者のトークセッションで、どんな情報よりも貴重な言葉たちでした。特に今回は「おひとりさま」のがん告知・治療・退院後の生活などで困ったことなどのお話を伺うことができました。他人ごとではない内容で、改めて自分のことを見直すきっかけにもなりました。何を自分で行い、何を支援してもらうのか。慌てないため、そして自分自身をしっかり自分で守れるようにしていくにはどうしたらよいのか。お話を伺いながら、頭の中で自分をあてはめながら・・と思考がフル稼働の時間でした。「おひとりさま」は孤独ではない。自分から遠ざかってはいけないということ。「おひとりさま」だからといって遠慮することはないということ。
でもね。助けを求める人も選択しないと、無意識に傷つけてくる人もいるので、その見極めも難しいことだよなぁ、とも思いました。先の先を読みすぎて疲弊する自分に嫌気がさしますが、世の中ってそういうことでもあると思っています。
トークセッションに出演していらした方たちは、今なお治療中とのことでした。ユーモアも交えながらお話しする姿の内側に、きっと見えない傷をたくさん抱えていらっしゃるのだろうなぁ、とも思いました。
ソーシャルワーカーの方のお話も印象的で、「当たり前に家族がいることを想定してはいけない。すでに日本社会には単身生活者が全世帯数の30%以上を占めている。様々な事情で単身生活を送っている現状を制度が阻害している」といった投げかけから、私たちができることは違和感を伝えつづけることなのかも、とも思いました。制度を変えることって大変ですが、小さな声を集めて大きくしていくことが大切なことだと思います。
当日のブースの中に、POLAが提供しているハンドマッサージを体験しました。久しぶりに他人から施術されることの心地よさに浸り、良い時間を過ごすとができました。