塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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2025/12/06
340「ファナティックとは?」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

新書の魅力に開眼した今夏。
様々な知識を安価で手に入れることのできる新書は
私の心強い味方になったような気がします。

読書強化月間に
書店で思わず手に取った新書。


『ピアニストは「ファンサ」の原点か』
スターとファンの誕生史

かげはら史帆(河出新書)

かげはら史帆氏の「ベートーヴェン捏造」を読んで
「おもしろい!」と思った著者の新刊。

『推し活』全盛の今の時代
ファンとはいつから誕生したのか?を
めぐって時代を遡り
ピアニスト・リストの風刺画をもとに
謎解きをしていくという解説書。

音楽家としては見過ごすことのできない内容だった。


人気というものは
自然発生ではなく
人工的に(または作為的に)作られるものである。
その方法は、本人ではなく
周りの思惑によって築かれるものが多かった。

フランツ・リストの場合
◎ライバルをあてがわれる
◎恋愛相手によってブランディングしてもらう
◎ビジュアルを最大限に活かす
◎顔芸・しぐさで聴衆を魅了する
◎コンサートの密室化(サロン)による個別化 など
綿密に仕組まれていた様子。
ただ本人は、地道なテクニック練習を積み重ねて
自分の技術で勝負したかった模様。
【なんだかわからないけれど、有名だから聞きに行く】というよりも
本物を届けたかった音楽家の信念が見え隠れする。

私には、音楽家の弱点でもある
「うまく言葉で表現できない」
「セルフコントロールできない芸術家」を
最大限に利用されたのではないか・・・と訝しく思う(深読みすぎ・・)

現代の音楽家はしたたかで
自分でもセルフブランディングをして
確実に「ファン」を増やす努力をしている。
古き時代のように
「お抱え音楽家」を雇うような文化が無くなってしまったから
自力で自分のファンを増やさなければ
活動をしていくのは至難の業。

音楽家だって
霞を食べて生きているわけではない。
毎日のパン代金を稼ぐべく
必死にファンを増やしている。

クラシック音楽愛好家が求める演奏家の姿は
ファン層を広げたい音楽家自身と
思惑が違っているかもしれない・・・
今の時代
音楽家のあり方は転換期を迎えているのかもしれない・・・と
大きな視点で見ると
自分の音楽家としての姿勢はどうするべきか?と
大きな問いかけをされている気がする。

ファンからみた視点。
音楽家から見た視点。
読みながら、あちらこちらへとフラフラしながら読了。





2025/12/05
339「コールドムーン孤高の月」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今夜は満月です。
今年最後の満月は『コールドムーン』と言うそうです。

音楽家は案外、孤独です。
リサイタル準備も
たくさんの方と作業しながら
連絡を取り合いながら
リハーサルを重ねたり
意見を交換したり
コミュニケーション豊かな時間の中で
楽しく進めていますが
根っこの部分は
私、ひとり 
なのです。

重要な決断
〆切の設定
最終判断
すべて自分一人で行います。
自分の決定がどのように影響するのか
シミュレーションしながら
思いめぐらすのは
自分、ひとり
です。

私はその孤独が糧となって
自分の中に蓄積されていることを
感じています。
誰にも理解されなくても
自分自身が認めてあげれば
それで満足です。
(そもそも他人に理解を求めることが違うかも?)

今夜の満月は
孤高の月とも呼ばれるとのこと。

冷えた空に凛としてかがやく満月に勇気をもらいながら
これからもひとり、生きていきたいと思いを新たにしています。







2025/12/04
338「ベートーヴェンとともに歩む 2025」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今年のリサイタルは
ベートーヴェンのソナタの完走記念。

2014年に第2番から始めて(2番の方が先に作曲された)
途中、コロナ禍で3回のお休みを挟み
2023年に2曲を演奏し
2025年に10番目まで辿り着く
長い長いプロジェクトでした。

始めた当初は気軽な気持ちで
「これでしばらくプログラムを考えなくてもよい!
少なくとも半分くらいは・・・」と
ウキウキした気持ちでした。
毎回のテーマを決めながら
プログラムを考えることは
なかなか難しいものです。
ひとつテーマ(ベートーヴェン)が決まっていれば
その手間が省けます。

ベートーヴェンのソナタを
1曲ずつ演奏しながら
その周りをどう彩るか・・・
どのようにテーマを考えていくのか・・・

ベートーヴェンという『軸』があれば
その先を組み立てるのは得意でした。

予期せぬコロナ禍のあと
七転八倒した日々。
暗澹たる思いで紡いだ音の数々。
何度涙しながら
「なぜ、どうして・・・」と虚しい問いかけをしながら
リサイタルの準備をしたことか。

それでも休むことなく続けてこられたのは
私の演奏を楽しみにしてくださる方がいるから。
とちゅう、それが好奇のまなざしに変化していたとしても
自分の揺るぎない思いを
演奏に乗せる強さにしたいと思ったから。

この2年間のリサイタルには
窺うような
好奇の気配
憐れみを感じました。

今回は
私の演奏を
本当に聴きたい方がいらっしゃると信じています。

私が発信するものを
受け手の聴衆も心して聴いてほしい。
【本物を届ける】ことは
作曲家の声を届けることでもあるし
演奏者の思いを音に乗せることでもあります。

長い長い年月でした。

ベートーヴェンは
静かに
そして確かに
私の傍らに存在していました。

その「鼓動」
そして私自身の「静かなる躍動」が
私の生きる源。

「死」を乗り越えたり
肯定したり
納得する気はさらさらなくて
毒をそのまま自分に取り込んで
全てをひっくるめて
飲み込んでしまおうとおもう。

「生きる」って生易しいものではない。

地団太踏んで
泣き叫び
感情をむき出して
拳が血でにじむほどにドアをたたく

それが私の生き方になるのかもしれない。








2025/12/03
337「心の軌跡をたどる」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

11月の読書強化月間中に読み進めた本。
この本はとても良かったです。
(よかったという感想はよくない・・・)

この本を買ったのは9月。
長女と本屋さんをウロウロしていて
ふと目に留まった本でした。
「カウンセリング」「心」「追憶」といった言葉が
気になる時期でもありました。

自分で自分を見つめながら注意深く過ごした2年半。
自分が壊れてしまわないように
自分を自分で癒すために過ごした日々。
2年半前の出来事を
繰り返し思い出しながら
悲しみ・怒り・慟哭・咆哮・・・
あの時自分が選んだ道・方法は良かったのかどうか?
自分が今、いる場所はどのくらいの地点なんだろうか?
常に確かめながら読んでいました。

カウンセリングとはどういうものなのか?
今までの歴史と変化。
そして実際の現場で行われる
カウンセラーの視点と決断を
カウンセリングルームにいるかのように進んでいく様子に
何度も「なるほど」と思いました。

私は心理学を学んだわけでもなく
もちろんカウンセラーでもない。
私自身が心の助けを求めるのが苦手で自分を開示するのが怖い。
2年半前のことを誰かに助けを求めたら
絶対に自分が壊れる。
狂って立ちゆかなくなる。
でも、
もしかしたら、
その方がラクだったかもしれません。

でも、私は「生きる」ことに決めた。
だから少しずつ、ほんのちょっとずつ
自分が「生きる」ためには
どうすればいいのか
方法を考えることに決めた。
(「進む」とか「前を向く」という言葉を使いたくなかった)

その答え合わせを
自分なりに
この本でできたような気がします。

大丈夫。
これからも、立ち直らなくても良いよ。
カウンセリングは自分で終わらせるときが来るから。
そのままでも、靄が薄くなったり、濃くなったりしても
自分自身を自分がしっかり抱きしめていればいい。

そんな風に思うことができました。

カウンセラーとともに歩む日々も良いけれど
私は自分自身が伴走者で良かったと思います。
(専門家に頼る方が良い場合もあります)

手元に置いて何度でも読み返そう・・・と思うことのできる
貴重な一冊になりました。







2025/12/02
336「睡眠は大切」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

お天気の日に布団を干して
布団カバーを真冬仕様に替えました。
(年間の布団仕様は4パターンあります)

睡眠は大切です。
寝不足は本当に体力を奪われます。
眠りが浅かったりすると
余計な力を必要としたり
メンタル面で不安定になるので気をつけています。

ほっこりした布団にくるまって
「あ~しあわせ~」とつぶやいて寝る。

それだけで、
心配事の8割は消え去ります。

今の時期は
体調管理に気を遣います。
元気であれば、たいていのことは乗り切れるから
睡眠時間を大切にして過ごしています。

プログラムが完成しつつあります。
今年も文字数が多くて、読むのは大変です。
確認作業も一苦労。
この作業が終わると本番は目前です。



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