291「積読日記・世界99」
2026/10/20
【世界99】村田沙耶香
久しぶりに上下巻を楽しみました。長編をちゃんと読めて嬉しかったのが一番の感想・・・
ちょっと不気味だったけれど、ひとつひとつは今の時代に確実にある感覚。自分を世界に合わせることで自分という存在を確保するのは、今の時代に必要な技術だったりするけれど、それが逸脱していくと、記憶の改ざんだったり貧富の差へと変容していく様子がリアルだった。ピョコルンという存在が都合の良いものなのか、人間にとって歪んだ存在なのか?今の時代を少し変換しただけで、すぐにこんな世界が当たり前になってしまうかも、という近未来的なことを考えてしまった。今の若者たちはこの物語をどう読むのだろうか?どの登場人物も、ふと周りを見渡せば存在している。多種多様な思想の間で自分を保つのはなかなか厳しいからこそ、「呼応」と「トレース」で生きる方が世界に馴染めるのだろう。それでいいの?でも、そうしないと生きていけないよね。生きるということはなんと複雑で大変なことか。
答えは出ない。
そんな中をグルグルしながら読む快感が心地よかった。