塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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357「画家のまわりの視線」

2025/12/23
357「画家のまわりの視線」
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

美術館へ行くのが好きです。
長女が1歳くらいのときから
損保ジャパン東郷青児美術館に行くのが楽しみでした。
優待券をいただける恩恵もあって
家族で訪れてたのしんでいました。
その他、箱根のポーラ美術館や
新国立美術館などがお気に入りでした。
キュレーターによって
作品の解釈が大変化することが
私にとっては驚きでもあり
ショックでもあり
その視点の深さを
自分のコンサートのプログラムを組み立てるときに
参考にしました。

さて、11月の読書強化月間の振り返りを(まだ続いていた・・・)

『ジルヴェニーの食卓』原田マハ(集英社文庫)

購入したのは9月。まだ暑い時期でした。
表紙の美しさに魅かれ
作者の名前をみて「間違いない」と確信し
安心していたら初冬になっていました。

美しい、美しい物語だった。
マティス、ドガ、セザンヌ、モネ
歴史を知っていて
その時代背景を理解することができると
より深く読むことができる。
読書も知識があれば、もっともっと深く読むことができる。
4人の画家の事はよく知られているけれど
その画家たちを他の視線から見るとなると
ハッとすることがある。

そうか。
そうなのかもしれない。
そうだったのか。
いや・・・違うかもしれない。

それが事実でなかったとしても
その場に自分がいたら?と想像してしまう。

私は個人的にマティスの「美しい墓」が好き。
自分の墓を自分で作る。
あの教会は
私も自分が死ぬ時の音を
自分で創りたいな…と思ってしまった。
夫の葬儀で奏でた音は
いつまでも私の中に染みついている。
愛していると叫びながら
なぜと怒ってもいた。
未だに答えは返ってくるはずもなく
ここにひとりで座っている自分がいる。

私は私の音の記憶を
だれかに届けたいと思っている。
それが生きている人であっても
死んだ人であっても。