塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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2025/09/12
255「ベートーヴェンとの会話」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

本日は奏楽堂でのコンサート。
湿気が高く
演奏会には不向きな気候ですが
大切な『クロイツェルソナタ』を
自由に演奏したいと思っています。

孤高の人、というイメージの強いベートーヴェンですが
私の中では気楽な相談相手。
「私はこの部分を、もっと自由に弾きたいけれどいいかしら?」
「好きなように弾いてみなさい、どう弾いたって私の思うようになるのだから」
といった感じで、
かなり私の思う通りに弾かせてくれる寛大なベートーヴェンです・・・
(本当は怒っていたらどうしよう・・・)


今日演奏する方たちの
様々な「ベートーヴェン像」が共鳴しあって
お客様が
一人の作曲家の
多方面を楽しめるコンサートになることを
心から願っています。






2025/09/11
254「未来の年代へ向けて」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

近視・・・
老眼・・・
年齢とともに、目の不具合は出てきます。

今まで問題なく譜面が読めていたのに
なぜか時間がかかったり
音符の輪郭があやふやになったり
加線の数を間違えたり・・・

ヴァイオリンソナタは基本的には譜面を見ながら演奏しますが
ほぼ暗譜に近い状態で準備をしています。
私の場合は、曲の構成を譜面の「あのあたり」と記憶して
確認作業しながら演奏しているといった感じです。

ただ、近頃は
そう思っていても
瞬時にその音に目線が着地する時間に誤差があり
ヒヤリとすることが多くなりました。
時には乗り遅れて弾き損じることも。

さすがに老眼鏡姿で演奏するのは
もう少し先延ばしにしたい。
(でも、そうなったときのために
おしゃれなリーディンググラスを見つけておこう)

その前の対策としては
  • 「焦らない」← みつからない!と焦ると余計な力が入る
  • 「自分を過信しない」← 自分は大丈夫!という謎の自信が私の場合は落とし穴
  • 「少し先に準備する」← 先の自分をみることと同じで余裕をもちたい

年齢を重ねることに異議はありませんし
(無駄にあがきたくない)
仕方のないことですが
ちょっとした工夫が必要のようです。

この工夫は生活の中でも活きてくることです。

誰かの時間に合わせて急ぐ時代は終わりました。
少し自分に目をかけて
これから未知の年代へ向けて
試行錯誤を始めてみようと思います。




2025/09/10
253「話をきくだけでも」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

「MuBe'88 ベートーヴェンの夕べ」
本番が迫ってきました。

他の演奏者とご一緒するジョイントコンサートは久しぶり。
「クロイツェルソナタ」だけを演奏するのも久しぶり。
夜の公演もひさしぶり・・・
久しぶりの事が多すぎて、準備もアタフタとしています。
そんな状況も楽しくて
やはり演奏する場所をいただけているのは幸せなことだと思っています。

子育て中に頑張って
演奏機会を途切れさせなかったことや
家族を巻き込んで準備していたこと
終わりがあるならば・・・と本番前日もお弁当を作ったり
本番当日に模試の送迎をしたり
終演後に翌日のお弁当の仕込みをしたことが
懐かしくなります。

その時には辛くて大変だったことも
いつまでも
忘れずに
ずっと心に留めておきたいと思っています。

今、大変な時期を通っている演奏家や
頑張っているお子さまを応援している親御さん。
それぞれ状況は違うと思います。

それらを静かに受け止めることが
私にはできると思っています。
話を聞いてもらうだけでも、ホッとします。

次女が言いました。
「結局、決定するのは自分なの。
でも、ただ話を聞いてもらいたいだけっていうのも必要なんだよね。
多分、それは女性脳だからかもしれないけれど。」

その通りだと思います。
答えを欲しいわけじゃなくて
話を聞いてもらうだけでも・・・
私自身もそうでした。

それは、
子育てをしながら
少しずつ分かってきた
大切なことだと思います。






2025/09/09
252「海外で暮らすこと」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

海外での「家問題」はなかなかシビアです。
私自身はちょっと苦労しました。

音楽家は自宅で練習したいので、音問題は深刻。
音大に十分な練習室が整っているのであれば
あまり問題にならないのですが
私の通っていた学校はほぼ全部がレッスン室や講義室なので
純粋な練習室は皆無。

初めての家はピアニストのお宅を譲り受ける感じで入居。
裏庭に面していて、日中でも薄暗くこぢんまりしたアパルトマンでした。
きっと昔は小間使いの部屋だったのではないか?と思うような造りで
トイレは玄関を出た先にあり(もちろん自分だけのトイレだが、自宅の扉を閉めてしまったら戻れない)
シャワーブースは湯沸かし20分、温水の出る時間が10分。
キッチンと呼べる場所はなく、簡易式電熱コンロが2口。
洗面所とキッチンの洗い場は同じ。
暖房器具がないのでオイルヒーターを自分の後をコロコロ転がして談を取る。
冬は本当に寒かったです。
若いとそんなことは全然気にならなかったですが
あの部屋を経験したおかげで
部屋に関しての期待値は一気に下がりました。
あまり、こだわりがなくなって
センスを磨くという努力をしなくなりました。

色々あって引っ越しをした次の家も
やはりヴァイオリニストから譲り受けた部屋でした。
明るくて小さなバルコニーもあり
大きいバスルームと洗面所もきちんとある
生活に十分な家でした。
ただその一帯は、低所得者用アパート群だったので
あまり治安が良くなくて
「え?あの一体に住んでいるの?」と驚かれたことも。
それでも、自分の仕送り金額や生活費を考えれば順当だと思いました。

今思えば、もう少し快適に過ごすことができたかもしれない、と
思うこともあるのですが
なにしろ生活することに手一杯でした。

今、娘たちが海外生活で
部屋に関してしっかりと
自分の居心地を重視して
基盤を整えていることに
驚きと羨望のまなざして見ています。

外で何かあっても
自分の家が安心で守ってくれると信じることができれば
自分自身を失わずに過ごすことができます。
どんなに短期間であろうとも
いつ退去を迫られても
不安定のまま過ごさない彼女たちの姿を
見習わなければいけないなぁ、と思いました。

海外で暮らすということは
全て自分の責任で過ごすということ。
その自分を、自分自身が癒してあげることの大切さを
彼女たちは身に着けているのだなぁ、と思いました。










2025/09/08
251「3年目のスイス・次女」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今日は、次女がスイスでの修行を始めてから3年目の学年が始まった日。
2年前に成田空港から飛び立つ飛行機を長女と見送り
燃えるような夕焼けを眺めながら家路についたあの日を思い出しました。

スイスに到着後
猫アレルギーで顔がパンパンに腫れたり
アパルトマン探しで詐欺にあい
警察へ事情聴取でアポイントを取ったり
滞在許可証や奨学金手続きに時間を取られてストレスマックス
学校までの長い通学時間も気が抜けず
フランス語の授業は難しく悔しい思いをしたこと
コミュニケーションがうまくいかずにがっかりしたことも数知れず
食事の準備・洗濯・掃除・買い出し・お弁当作りといった生活も整えていかなければならず・・・
それでもあきらめずに過ごした日々
思い出すだけでも、私自身は疲労感でいっぱいになります。

それでも多分
私には想像もつかない、もっとたくさんの出来事があったでしょう。
次女はなかなか本音を言わない性格です。
大らかに見守ることが苦手な私は
無駄にヤキモキすることが多かったです。
そして、余計なことを言って次女を怒らせることが未だに多々あります。

【子育ては18歳で終える】
握っていた手を放し
子ども自身の選択を尊重すること
目だけは逸らさずに
しっかり見ていること

これがなんと難しいことか!

それまでの幼いころからの積み重ねがないと
すぐにできないことは確かです。
さらに、家を出て一人暮らしをするとなれば
心配も増すというものです。

経済的な自立はもう少し先ですが
その準備は着々と進めていきます。
父親がいないという負い目を感じてほしくない、という
私の思いも少なからずあります。

1年目、2年目と経験と知恵を積み重ねて
3年目は3件目の新しい家からスタートした様子です。






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