塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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2025/03/22
81「留学の思い出①」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

私は今から30年以上前に
ドイツに音楽留学しました。
小学生時代を父の仕事の関係でデュッセルドルフに住んでいた経験と
その時にお世話になったヴァイオリンの教授が音大で教えていたこともあり
わりと簡単に留学を決めてしまいました。
というのも、
私の人格形成は感性豊かな小学生時代に培われたからだと思います。
ドイツの生活や空気感、時間の流れや音楽への向き合い方すべてが
帰国した後も鮮明に形作られていたので、
ドイツへ戻って自分の音楽を完成させたいと
駆り立てていたのでしょう。
奨学金の申請のために書いたエッセイには
「無意識に吸収されたものは、当たり前として忘れ去られてしまう。
本質を意識的に知るということ、それこそ大切なことだと思う。
何かを”何となく”ではなく”本質”を指摘できるようになりたい。
ドイツに滞在することによって、慣習、生活を越えたさらに深い
”意識”を体得したいと思っている。」と小難しいことを書いていました。
今読み返すと恥ずかしいけれど、その時は必死だったことは確かです。
(残念ながら奨学金を受けることができず、自費留学をすることになりました)


当時は、問い合わせをするにも手紙を書いたり、国際電話をかける・・・という
なかなかハードルの高いものでした。
それでも、ドイツへ行くことは必然!とばかりに
大学を卒業してすぐに飛び立ちました。

大きいスーツケース1つと、大きなラジカセ(!)を手荷物に
相棒の楽器を背負ってフランクフルト空港にたどり着いたときは
身が引き締まる思いがしたものですが、内心はワクワクして
壮大な夢を描いていたような気がします。

ドイツ生活の中で楽器を練習できるアパートは希少なので
ツテを駆使して借りた部屋は
中庭に面した古い建物でした。
昔は召使が住んでいたんじゃないかと思うような
床がベコベコの暖房器具もない(冬は寒くて頭が冷え冷えだった)
10分しかお湯の出ないシャワーボックス。
洗面所はなくて、キッチン(のような)流しで顔を洗う。
冷蔵庫は冷凍室がないので食材の冷凍保存ができず
食器を収める戸棚も小さすぎてドアが壊れている。
極めつけはトイレが部屋のドアを開けた先にあるという
珍しいを通り越した造りでした。
「地下室も使えるから」と言われたものの
見に行くと真っ暗でジメジメとした
土壁がむき出しになった場所だったので
用途が思いつかず
一回見に行った後は行きませんでした。

洗濯機は2ブロック先のコインランドリーへ
シーツやベッドカバーなどの大物を洗うだけで
乾燥機は使いませんでした。
なぜなら、時間がかかるし高かったから…
日常の洗濯は手洗いでした。

それでも、交通の便が良く
一人暮らし初心者の私は
毎日スーパーへ買い物に行き
コツコツと自炊をして
ドイツ語の勉強をしながら
ヴァイオリンの練習をする毎日に
満足していたものです。

苦労したことは本当に数知れず。
失敗は記憶を封印して思い出さないようにしています。

ドイツ語もおぼつかず
英語も全然通じないくらいの言語能力で
とにかく自分の演奏だけを武器に戦っていたような感じでした。





2025/03/21
80「4月の演奏情報」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今年の春は演奏機会をいただくことが多く
次のコンサートは4月10日に札幌北一条教会で演奏します。
教会でのコンサートいうこともあり
静かに30分間を音楽に浸るという
演奏する私自身もとても贅沢な時間となります。

7年前にも演奏させていただいたことがあり
今回は2回目です。

先日のお昼のコンサートとは違って
ほぼ全曲を独奏で演奏します。

  • テレマン:ファンタジー第5番
  • ビーバー:パッサカリア
  • イザイ:無伴奏ソナタ第5番より「オーロラ」
  • バッハ:マタイ受難曲より「憐れみたまえ、わが主よ」←オルガンと共に演奏します(教会オルガニスト・工藤羊子さん)

お話もなく静かに始まり
演奏後も最後に拍手をいただく形式なので
内省する時間として最適です。

演奏を聴いている空間で
様々な思いを巡らせながら
共にその場に在る

音楽が引き寄せあい
つながりを強め
その場その時間を
豊かにしていく時間

お近くの方はぜひいらしてください。
心よりお待ちしています。

札幌北一条教会
中央区北1条西13丁目


余談:段差に突っかかったり
iPadやペダルを落っことさないように気をつけなければ・・・








2025/03/20
79「自分の苦手をChatGPTに任せてみる」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今回のコンサートMCを作成するときにChatGPTを利用してみました。
作曲家の名前と曲を入力して
「この作曲家と作品について教えて」と
付け加えるだけである程度の情報を教えてくれます。
それだけで私には十分でした。
その内容が正確なものであるかを見極めるための精査は必要ですが
年号などは、ほぼ正確でした。

私がいつもMC作成でつまずくところが
この事実確認と正確な年号・正確な場所の名前だったので
その作業を任せられるのはとても快適でした。
(ある程度の情報があらかじめ揃っているところに
自分の情報を付け加えていく作業は得意です。
元になる事実を最初から集めるのが苦手・・
という怠慢な性格です)

今まではどうやって活用するのかわからなかったChatGPT。
まだまだ使い方は初歩的ですが
こうして試行錯誤しながら利用しつつ
自分の作業に活かしていきたいと思いました。



どんなコンサート後も
若干「もぬけの殻」状態になるので
思考が中途半端になります。
そこはどうすればよいのか?
ChatGPTに相談してみることにします。
どんな答えになるのかしら?





2025/03/19
78「本番演奏を終えて次の課題」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今日は今年初めてのコンサート。
朝の6時に起きると雨模様。
仕方ないなぁ、と思っているうちに
見る間に雪に変わって
庭に積もっていく様子にかなり焦りました。

ピアニストのお迎えをどうしようかしら?
このまま降り続いたら
会場までどうやって行こうかしら?

それでも野生の勘で
「いや、雪は止むはず」と
準備を進めていきます。
(根拠のない自信はいつもの如く)
いつものように、朝のルーティンをこなしながら
とにかく忘れ物をしないように荷物を準備。
着ていく洋服もストレスのかからないものを。

発声練習をしたり
口を開ける練習(指3本分を縦に口の中に入れる)
リップロールをしたり
腹式呼吸をしてみたり
先日の話し方講座の実践。

空気が乾いて冷たいので手を温めながら
指慣らしのために練習曲をゆっくり弾く。

ピアニストは時間通りに9時半に駅に到着して
お迎えも完了。
リハーサルを終えて会場へ移動。

本番まで控室にて待機。
iPadやペダルの調子を確認して
着替えは2分で完了です。

今回はMCに工夫をしてみました。
  • 言葉を最後まできちんと言い切ること
  • 伝えたいことはストレートに伝えること
  • 照れや遠慮をしないで本音を語ること
おかげで少しだけ言葉選びに変化が表れたように思います。
これも経験を重ねていかないとできないこと。
まずはやってみる。
そういう機会をいただけたことに感謝です。

ただ、苦手意識のある自己紹介やお話のつなぎ部分は
改良の余地がありそうです。
私らしい表現方法など
もっと磨いていきたいものです。
課題がたくさんみつかる本番です・・・


ほんの30分といえども、
内容は盛りだくさん。
聞いてくださる方も、初心者さんから耳の肥えている方まで
幅広くいらっしゃいます。
私の演奏が心の琴線にふれることができたら
良いなぁと思います。

聞きに来てくれたお友だちが
花束を持ってきてくれて感激。
「やっぱり日本の歌にジーンとして涙が出てきちゃった」
そう、日本の歌には私たち日本人が遺伝子的に持っている
懐かしくて、切なくなるメロディが心に刻まれているのだと思います。
そう感じてもらえて、嬉しかったです。


ミヨー春
菅野ようこ:花は咲く
ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第7番より第1楽章
ハチャトリアン:剣の舞
寺本睦美:日本の歌メドレー





2025/03/18
77「コンサート前日って何をしてる?」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。


コンサート前日の音楽家って、何やっているの?

これは本当に人それぞれですが
私の場合は
普段とあまり変わらない1日かもしれません。

各曲のイメージ画像や細かいディテールを
頭の中でシミュレーションしながら
ゆっくり練習したり
全曲を通して弾いてみたりします。
演奏している姿を鏡でチェックしたり
衣装を着て弾いてみたり
靴を履いて弾いてみたり。

MCがある場合は、
話の内容の順番を確認したり
必ず言わなくてはならないことを
メモを作って覚えたり。

あとは忘れ物がないように
メモ書きするのは必須。
今は、iPadや譜めくり用のペダル
充電器や電池などもリストに加えます。
そして、
タイムスケジュールを書き出すのも大事です。
どのくらいの時間に
何をするか、というのは
心の余裕にもなります。

最後に
弾き終わった後の自分を想像して仕上げ。
必ず、笑顔でお客様にお辞儀をしている姿を頭に焼き付けて
前日はおしまい。

私はあまり、ゲン担ぎをしたり
細かいことにこだわらないし
かなりシンプルに本番を迎えているほうかもしれません。

食べ物だけは
生ものは控えるようにしています。
(飲みすぎないのも大事・・・)

子育て中は
本番前日の夜に、
競泳大会出場の娘のためにお弁当を仕込んでいたのは
毎度のこと。
そのほか、リサイタル前日に
断り切れなくて小さなコンサートに出演したこともありますし
今回も今日は地域の会議に出席していました。


生活の中に音楽がある。
演奏する音楽家も
生活者のひとり。

私の演奏の中に
生活の香りがするのであれば
それこそ私が望んでいることです。




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