塚本香央里(つかもとかおり)
 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
 

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2026/06/30
181「姉妹それぞれ・視察旅行⑤」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

次女はこの3年間を大学学士過程に在籍していました。日本で音楽高校を卒業して、半年ほど引き続き大学の単位等履修生として在籍してからスイスへ留学しました。

長女は同じく3年前に日本の音大を卒業して、ドイツの音楽大学院に入学しました。

大学在籍と大学院在籍での違い、スイスとドイツという国の違い、生活様式の違いはそれぞれ大きかったです。さらに姉妹の性格の違いも影響していたように思えます。


☆大学と大学院:大学生はほぼ毎日授業があります。講義や実技はもちろんのこと、副科ピアノ、副科ヴィオラ、室内楽やオーケストラもしっかりと単位認定に含まれます。講義は全てフランス語。3年修了時には論文を書いてそれについての口頭試問までありました。最後に卒業リサイタルを開催してすべての単位を認定されると卒業できます。卒業式はひとりひとり名前を呼ばれて同級生からの歓声と共にディレクターから卒業証書を手渡されるというもの。

ドイツの大学院は、それぞれの大学によって違いがあるのですが、長女の大学院は取得義務のある講義が多かったようです。ドイツ語もかなりのレベルを求められて試験を受けなければなりませんでした。長女は室内楽メンバーとして声を掛けられることも多く、様々な編成の室内楽を渡り歩いていました。コミュニケーション能力が高いので、オーケストラのコンミスを担当した時も、合唱を含む大編成のオーケストラをメンバーと協力しながら率いていたことも印象的でした。現代音楽に興味を持っていることで広がったコミュニティも大きな強みになったようです。プロオケのMDR(中央ドイツ放送交響楽団)で短期就労の経験もして、盛沢山すぎる3年間を過ごしています。二人とも国や学校の奨学金制度に申請をして、経済多岐な負担減もさることながら、奨学金生の利点を生かした活動をしていました。堅実で真摯な姿だと思います。海外留学は華やかでお金のかかることばかりが目立って、肝心の勉強内容がおろそかになる傾向が見受けられますが、実際の留学生活は地味で質素で、心身健やかに過ごすことの大切さを実感する時間の方が多いような気がします。


☆スイスとドイツ:スイスはEU加盟国ではないので少し独立した雰囲気があります。生活の中でもスイス独自の方法や規律があるようです。小さい国ながら、様々な言語(仏・独・伊・英)を使えるという強みや誇りを感じます。次女には「私の住む地域はフランス語が主流だから、挨拶は必ずフランス語でね。その後は英語で話してもいいから」と言われました。その土地を尊重する気持ちは大切ですね。気持ちが引き締まりました。一方ドイツは懐かしさの大きい国ではありますが、30年前の状況とは大きく違い、都市(州)が変われば雰囲気も違い興味深かったです。思わず5月に読んでいた「自由     アンゲラ・メルケル」を思い出してしまいました。


147「自由・アンゲラ・メルケル」 こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。アンゲラ・メルケルドイツの第8代連邦首相。在任2005年11月から2021年12月。ドイツ史上初の女性首相。彼女の執筆した「自由(FREIHEIT)」を読了。上下巻約800ペー...
 

☆生活:スイスは物価が高いです。ヨーロッパの中でも特に物価高なのは生活水準も高いということになるのでしょうか。人々に余裕が見えるのはそのせいかもしれません。しかしその中で暮らす留学生は仕送りが中心とはいえ、本人の金銭感覚も問われることになります。物価の高い中で生活するには知恵が必要ですし、自分が何を優先するのかを見極める目と判断力が必要になってきます。コンビニなどは存在しないので、外食を減らしてお弁当を持参したり、自炊は必須。意外とかかる交通費なども、安価なルートを調べたりといったリサーチに余念がなかったです。ユーロ圏のドイツも大きな差はありませんが、やはり節約することの大切さは同じ。お互いの国の相場を姉妹で連絡を取りながら、生活用品の購入の相談をしていたようです。


「二人ともヨーロッパだったら安心ですね」と言われても、二人の都市は列車で7時間。決して近くはないので基本的にはそれぞれが自力で何とかしなければなりません。一人暮らし一年生の二人が、3年を経てしっかりと土台を固められたのは、実家暮らしで培った「感覚」だと思います。基本的なことは、実家の生活がすべてです。各自の軌道修正は必要だったでしょうが、私の思いから大きく逸れていないことに安堵しました。




2026/06/29
180「金銭感覚・視察旅行④」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今回の旅の目的は、娘たちの生活を視察するためでもありました。

この3年間、それぞれが頑張ってきた毎日は本当に見事なものでした。自分で調べて自分で行動し、大小の失敗をしつつも自力で立て直してコツコツと積み上げた生活。遠隔で日本から相談にのることもありましたし、アドバイスを送り続けていましたが、やはり実際に見てみなければわからないことも多かったです。生活で一番の課題は【お金】。このお金とどう向き合うか。その姿勢がすべての鍵を握るようにも思いました。大きく分けると長女は慎重派で細かいタイプ。自分なりの規律の中でやりくりするのが上手です。次女は大きく捉えて大胆なタイプ。楽天的すぎるところがあるけれど、非常に堅実です。共通することは二人とも数字に強くて節約家(うらやましい)。商品の底値をしっかり把握して、レート換算まで考えながら生活費をコントロールしています。この考え方は、夫の影響が大きいと思います。ビジネスマンとしての経済社会の仕組みを幼いころから叩き込まれ、金銭感覚がしっかりと伝えられていました。

 

  • 必要ないもの・無駄なものは買わない。
  • 購入するときはどんなに小さなものであれ必ず比較検討する。
  • 一度手に入れたものはきちんとメンテナンスして長く使う。
  • 見栄を張らない。

 

夫の買い物術は徹底していて、時にこちらが息苦しくなるときもありましたが、良いものを手入れしながら愛用する姿をとても尊敬していました。家族への愛が強すぎて、自分のものを買うことができず、家では同じTシャツと短パン、フリースに着古したデニムばかり着ていました。私たちが「もっとカッコいい洋服を着て」といっても、「誰も見ないから俺はコレで良いんだよ」と頑なに着続けていたので、無理やり新しいものを買って着せていたこともありました。後に、自分のためにショルダーバッグを買ったり「そろそろ年代的に落ち着いた感じがいいよね」とシックが装いを意識した発言を聴いたときには涙が出そうになりました。


娘たちはその姿を覚えているので、お金の使い方にはとても敏感で、慎重です。心の中に、父のまなざしをしっかり意識しているようです。

さてその中で私の役割と言えば、お金の可能性・選択肢を広げる役目かもしれません。目の前の事に全力投球するのも大切だけど、少し遠くを見渡してみることも大切。自分の可能性を今現在の事に絞るのではなく、少し先を見て将来を大きく捉えるなどの大きい視点の提供。逆に小さな生活面でのアドバイスなどを意識して伝えるようにしています。特に、日常生活での食事に関してのアイデアや、保存方法、ライフオーガナイズに倣って持ち物管理など。制限のある生活の中でも、心地よく健康に過ごせるようにサポートしています。

お金の存在は貴重であっても、それに依存することなく、適切に使っていけば心の余裕と支えになります。

お友だちとの会話でも、この金銭感覚は大切な要素となり、自分軸を形成するためには必要なことだと思います。


私もお金に関してはまだまだ勉強の余地があります。これからの年代に備えてさらに知識を深めていきたいと思っています。娘たちの生活を視察しながら自分の姿を振り返る、良い機会でした。

 


2026/06/28
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今回訪れた街は、私のテリトリーではなく娘たちの生活する場所なので、少し事前準備が必要でした。特に次女の住むスイスは馴染みのない国。そして言語がフランス語主流の地域なのでドキドキしました。空港についても一人でなんとかホテルまで辿り着かねばならず、まずはシャトルバスがどこにつくのかわからずにウロウロ。インフォメーションで聞こうと思って「ええと、何語でしゃべるんだっけ?」とすでに頭の中がザワザワ。英語で質問して何とか聞き取って、よくよく周りを見渡せばきちんと矢印付きの案内が書いてある・・・。

はぁ。

自分の視線の低さ、視野の狭さに愕然としました。もっと上下左右の振り幅を大きくしなければ、案内板も探せない・・・。飛び込んだトイレが男性用で焦ったこともありました(もっと焦ったのは男性たちだったはず)。


娘たちには海外(主にヨーロッパ)の街に始めて行ったときには、教会の塔に上ることを勧めていました。大抵教会というものは、その街の中心に建っています。街の全部が見渡せるので地理感覚が一目瞭然でわかります。初めて家族でヨーロッパを旅した時は、ありとあらゆる教会を訪れて登れる塔には登りました。彼女たちは今でもそれを覚えていて、私には各都市の教会の位置を一番に教えてくれました。どの教会が上に登れるのか、いくらかかるのか、まで。ジュネーブの大聖堂。ローザンヌの大聖堂。ミュンヘンの教会。フランクフルトやヴュルツブルグの教会。それぞれの街の教会を訪れて、静かに座りながら深呼吸をする時間が自分の助けになりました。昨今、信者の少なくなった教会は、毎日扉を開けておくことを断念して決められた日時しか訪れることのできないようになってしまっています。でも、今回訪れた教会はどこも開いていました。ジュネーブの街はG7開催のために警備が厳しくて、高級店や高級ホテルはベニヤ板で囲われていましたが、教会だけは泰然と扉を開けていました。ローザンヌ大聖堂は丘の上にあり、教会にたどり着くまでに体力を消費しましたが、中はひんやりと涼しくて思わずほっと溜息をつきました。その他の教会内も、静かで静謐な空気が漂い、人々の安堵感があふれていました。ヴュルツブルグの聖キリアン大聖堂横の売店で長女が購入したプレイモビルのフィギュアについて、嬉々として説明してくれたおじさんは、きっと信者に違いないでしょう。ミュンヘンの聖ペーター教会では、コンサートのリハーサルが行われていて、残響の長さを懐かしく思い出しました。どの教会にもパイプオルガンやリードオルガンがあり、その形や大きさを眺めることができたのも感動でした。古くて修理ができないオルガンもあって、寄付を募っている様子もありました。パイプオルガンの音が聴けたらもっと良かったけれど・・・。

生活に密着する教会の存在は、人々の行動すら変えてしまいます。次女は自室に聞こえる教会の鐘の音で、勉強や練習の始まりを意識していたと言います。


一人で行動することも多かったこの旅で、教会の存在は私にとって大きな助けになりました。

困ったら教会に行けばいい。

懐の大きな教会の存在を改めて実感しました。




2026/06/27
178「旅は準備が8割?視察旅行②」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

8年ぶりの海外。

コロナ禍を経て大きく変わった渡航方法は、娘たちから聞いてはいたけれど自分で経験するのは初めてなので大いに戸惑うことも多かったです。今回は自分自身の安心安全を考えて日系航空会社ANAを選択したので、出発は羽田空港の第2ターミナル。見送りするのは何度もあるけれど、自分が利用するのは始めて。チェックインは前日にオンラインで済ませてあるので(それも初めての経験)スーツケースをドロップオフするための自動チェックインをして問題なく身軽になりました。保安検査所は国内線でも経験がありますがその後の出国手続きは久しぶり。前の人の行動を凝視しながらクリア。いつも娘たちに手を振って見送った後はこうなっているのか~と新鮮な気持ちでした。今回はヴァイオリンを持っていないので貴重品と手荷物だけなのでとても気が楽でした。

綺麗な免税店を眺めながら、ボーディングゲートで搭乗開始を待ちます。


今回初めてのことはWi-Fi。

以前は海外用の携帯電話を持って行ったり、ローミングなどの煩雑な手続きをしていました。娘たちはWi-Fiの貸し出しを利用していました。今回はeSIMにトライ。色々とリサーチしながら、初心者でも簡単に安心に使える「trifa」を使ってみることにしました。フライトの経由地でも娘たちに安否確認を知らせたいので、ヨーロッパ周遊13日間10ギガを契約。イギリス・スイス・ドイツ・オーストリアそれぞれの経由地で問題なく接続できて快適でした。こういうことも、使ってみないとわからないものですね。

一応ご参考まで。
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機内の過ごし方にこだわりはないので、その時の気分で過ごします。ひとつだけ気をつけることは、機内ですぐに行き先の現地時間に時計を合わせること。そうすると、到着してから時計を合わせる時間って、なかなかないので機内がおススメです。とはいいつつ・・・・今回は経由地がロンドン・ヒースロー空港だったため、スイスとの時差がさらに1時間あるということになってしまいました。仕方ないので、私はスイスの時間に合わせてやり過ごすことにしました。時差ボケのアタマには苦行でしたが。


スイス・ジュネーブ空港到着は夜10時。入国審査前にEES(Entry Exit System)という登録システムの機械に顔認証と指紋を認証させます。この認証はシェンゲン協定内であれば3年間保存されるとのことです。その後、入国審査官のところで認証を受けて晴れて入国。乗り継ぎ便はEU内移動の人が多いので、EU以外の人は少数です。

今年の秋からETIAS(ヨーロッパ渡航情報・認証システム)ビザ免除国のパスポート保持者がヨーロッパ32か国(シェンゲン協定国)へ観光や短期ビジネスで渡航する際に事前にオンラインで申請・認証するものが必要になるそうです。申請費用は20ユーロ。アメリカへの入国に必要なESTAと同じようなものですね。

スーツケースにはエアタグを仕込んであったので、位置情報でちゃんと一緒についてきていることを確認。

とにかく到着すればなんとかなります。


一人で全部をこなすためには、準備が8割。
そこまでリサーチしてシミュレーションできたらあとは、慌てないこと、焦らないこと、確認すること。
わからなければ、時間を惜しまずに質問すること。
不明であれば何度でも尋ねること。
待つことに関して海外の人たちは寛容です。


2026/06/26
177「13日間のヨーロッパ視察旅行へ①」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

先日13日間のヨーロッパ視察旅行に行ってきました。

目的は次女の大学卒業リサイタルを聴くためです。以前から次女に「聴きに来てほしい」とお願いされていましたが、なかなか勇気がでなくて・・・。どうしても家を空けることに抵抗がありました。自分でも情けないなぁと思っていたのですが、(なぜか)サーチャージの値上げ報道に背中をドンと押されて急にフライトチケットを購入して飛び出すことに決めました。期間の設定も、どうせ次女のところに行くならば長女の生活も視察に行きたいと思い、二人の予定を聞きながら設定しました(決めると早い、早すぎる)。次女の住むスイスは観光地でもあるので、行ってみたいと思っている所へ二人で行動したいと思って比較的長めに設定し、長女の住むドイツは生活密着型にして4日間ほど。それぞれの土地での言葉も何とかなりそう(謎の自信)なので、途中で単独行動になっても問題ないと判断しました。2週間も家を空けるのは初めて。3月末からドキドキしながらコツコツと準備を重ね、ご近所の方数名に家の見張りをお願いして、戸締りや安全確認を万全に旅立ちました。

滞在中から「来てよかった」と思う場面が多く、とても濃厚で重量感のある時間を過ごすことができました。
飛び立てなかった時期の自分を責めることはなく、大切で必要な時間だったと思っています。むしろその時間があったからこそ、今回の視察旅行が本当に様々なことを昇華させることができたように思えます。

これからしばらく旅の雑感を綴っていこうと思います。